給水管更生・更新について

1. 更生工事とは(目的とメカニズム)

主に築20年〜25年程度が経過した「亜鉛メッキ鋼管」や「硬質塩化ビニルライニング鋼管(継手類のサビが原因)」の給水管に対して行われます。

管の内部に発生したサビコブをきれいに削り落とした後、樹脂(主にエポキシ樹脂)をコーティング(ライニング)して膜を作ることで、サビの再発を防ぎ、赤水の発生や漏水リスクを抑える工法です。更生工事(ライニング工法)の仕組み(AI 生成)

更生工事(ライニング工法)の仕組み. (ソース: 更生工事はトーヨー興産)

2. 主な工法の種類

現在主流となっているのは、空気の流れを利用して研磨とコーティングを行う工法です。

  • 吸引・加圧式ライニング工法 配管内を真空に近い状態にして吸引するか、圧縮空気で圧力をかけながら、研磨材(金属の粒など)を流してサビを落とします。
    その後、液状のエポキシ樹脂を空気流に乗せて管内全体に行き渡らせ、均一な膜を形成します。
  • 機械的研磨工法 直線的な主要配管などにおいて、ワイヤーの先端にブラシやカッターがついた特殊な機械を挿入し、物理的にサビを削り落とした後に樹脂コーティングを施します。

3. 更生工事のメリットとデメリット

更新工事(全交換)と比較した場合、更生工事には明確な一長一短があります。

メリット

  • コストを大幅に抑えられる
  • 工期が短く、生活への影響が少ない

デメリット・リスク

  • あくまで「延命処置」である(寿命は10〜15年程度) 樹脂の膜も経年劣化する
  • 管自体が薄くなっていると施工できない すでにサビが進行し、管の肉厚が薄くなっている(ピンホールと呼ばれる小さな穴が開きかけている)場合、研磨の圧力で管に穴が空いてしまうリスクがあるため施工できません。
  • ピンホール(漏水)の完全な補修は難しい 更生工事は「予防」が主目的であり、すでに発生している漏水を完全に塞ぐためのものではありません。

4. 管理組合(修繕計画)としての判断ポイント

長期修繕計画において、給水管対策を「更生」にするか「更新」にするかは、マンションの財政状態と建物の寿命(ゴール)をどこに設定するかで決まります。

① 配管の「内視鏡調査(抜管調査)」が必須

築20年を過ぎて給水管対策を検討する場合、まずは専門業者に依頼して一部の配管を切り取る「抜管(ばっかん)調査」や内視鏡調査を行います。管の肉厚が十分に my 残っていることが確認できて初めて、更生工事が選択肢に入ります。

② 専有部と共用部の境界問題

給水管は、メーターボックスまでが「共用部」、そこから住戸内(キッチンや浴室へ向かう管)が「専有部」と区分されるのが一般的です。 更生工事を行う場合、一斉に工事を行わないと効果が薄れるため、管理組合が主導して「専有部も含めた一体的な工事」として総会決議(または定款・管理規約の変更)を行うケースが増えています。

更新工事の具体的な例

1. 使用される最新の配管素材(例)

  • 架橋(かきょう)ポリエチレン管 / ポリブテン管 柔軟性があるプラスチック製のパイプです。非常に軽くて錆びず、水漏れの原因になりやすい「継手(つなぎ目)」を大幅に減らせるため、現在の新築マンションでも標準的に使われています。
  • 耐衝撃性硬質塩化ビニル管(HIVP管) 主に共用部の縦管などに使われる、衝撃に強い濃紺色のビニル管です。こちらも腐食の心配がありません。

2. 専有部(住戸内)の具体的な施工パターン

更新工事で一番問題になるのが、「壁や床の内部にある専有部の配管をどうやって入れ替えるか」です。これには大きく分けて2つの具体例があります。

パターンA:隠蔽(いんぺい)配管・サヤ管ヘッダー工法(主流)

古い配管はそのまま壁の中に残して(水は抜いて完全に遮断します)、全く別のルートで新しい配管を通す方法です。

パイプシャフト内から住戸内への配管更新例. (ソース: 久保田システムサービス)
具体的な手順: メーターボックス(PS)から、水回り(キッチン、浴室、洗面所)の近くの床下や天井裏に向けて、新しく「架橋ポリエチレン管」をタコ足のように引き込みます。

  • メリット: 古い管を無理に引き抜かないため、壁や床を壊す面積を最小限(点検口の設置や、一部の壁の開口のみ)に抑えられます。

パターンB:露出配管(配管カバー)工法

構造上の理由(コンクリートに配管が埋め込まれているなど)で、床下や壁裏に新しい管を通す隙間がどうしても確保できない場合に行う工法です。

  • 具体的な手順: 廊下や部屋の「壁の表面」に新しい配管を這わせます。そのままでは見栄えが悪いため、仕上げにプラスチック製のリフォーム用「配管カバー(モール)」を被せて、エアコンの配管のようにきれいに目隠しをします。
  • メリット: 内装をほとんど壊さずに済むため、工期が短く費用も抑えられます。

3. 工事の全体スケジュールと生活への影響(例)

一般的な中規模マンション(50戸〜100戸程度)での、標準的な工事の流れの例です。

① 共用部工事(期間:約1〜2ヶ月)

受水槽から各階のメーターボックスへつながる「縦管(主管)」を新しくします。この期間中、マンション全体で断水が発生する日(数時間程度)が数日設定されます。

② 専有部工事(期間:1戸あたり約2〜4日間)

いよいよ居住者の部屋の中に入って作業をします。

  • 1日目(解体・配管): キッチンや洗面台の床・壁に作業用の穴(開口)を開け、メーターボックスから新しいポリエチレン管を引き込み、各水栓(蛇口)へ接続します。この日は日中に断水となります。
  • 2日目(内装復旧): 配管が終わった部分の壁や床を塞ぎ、クロス(壁紙)やクッションフロアを貼り直して元通りの状態に戻します。
  • 3日目(予備・確認): 通水テストや、水漏れがないかの最終確認を行います。

居住者への影響 工事期間中は、業者が部屋(キッチンや洗面所)に出入りするため、事前の片付け(荷物の移動)が必要になります。また、日中の断水時間帯は室内のトイレや水道が使えなくなるため、管理組合は仮設トイレを敷地内に設置するなどのケアを行います。


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